2011/07/19

【実務実習】ポートフォリオの概念を伝えることの難しさ

ポートフォリオが理解できない?

2006年から訳もわからず始めたポートフォリオだったが、何回か繰り返すうちに、だんだん掴めてきた。それでも、いろんなタイプの学生にポートフォリオを経験してもらったことで問題も出てきた。学生にアンケートをすると、ポートフォリオについて、”結局最後までよくわからなかった”という意見が、1つ2つ出てくるということだ。20人のうち1、2人なので、1割ぐらいの学生は、よくわからないけど、言われるがままにやっていたということになる。

実習オリエンテーションでは、たっぷり時間をかけて説明していたつもりだったが。


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わからなかったと答えた学生も、こちらの意図していることは、記録していたし、内容も問題なかった。じゃあ、何で理解できなかったと思ったのだろうか?

答えは学生のポートフォリオの中にある
ポートフォリオの要素は、学習の記録(今までのいわゆる実習の記録)+目標+振り返りである。目標を持ちなさい、振り返りをしなさいと言うだけでは、頭で理解しているようでなんとなく具体的な行動にうつすのは難しい。抽象的な話になりがちなので、なかなか理解するのが難しいのだと思う。薬学部で勉強することのうち、抽象的な話はほとんどない。


ビジネスマン 悩む 考える [1015539] - 写真素材

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なので、ワークシートを活用している。記入していけば、中長期および短期の目標をたてることができる。振り返りも、言われるがままに、1日、1週間、実習期間全体を振り返って、まとめてみるということができてしまう。

例えば、ありがちな今までの実習の記録


今日は、病棟で患者さんへ服薬指導をした。難しかった。先生が自然に会話をしている様子をみてすごいと思った。明日もがんばろうと思う。

ポートフォリオで目標と振り返りの要素を入れると…


<今日の目標>
患者さんと話をするときに話しやすい雰囲気をつくる
<今日したこと>
A病棟で術前の患者さんと話をした
<今日得たこと>
患者さんから話をしてもらいやすい雰囲気をつくるためには、意識して”間”をつくると良いというアドバイスを先生からいただいた。
<自己評価(振り返り)>
目標にしていた話しやすい雰囲気という点では、50点くらいの結果だった。先生は、手術前の患者さんからうまく不安を引き出していた。いただいたアドバイスをまた実践できたらいいなと思う。

単に実習の記録を書いてもらうのではなく、項目にわけるだけで、随分、具体的で学生の成長や個性が見えてくる実習の記録となっていく。学生自身もあとから振り返って自分の成長を感じられるだろうし、指導者側もどんなことに興味があるのか、どんな気づきがあったのか、どこでつまづいているのかなど、具体的な指導ができるようになる。

結局、わからないままでいいのか?

学生がポートフォリオの概念を完全に理解していなくても、ワークシートを用いれば、なんとななることはわかった。それでも、ポートフォリオの本質をわかっていると最終的なゴールがわかっているのだから、ポートフォリオを作成するほうが、学びが多いことは明らかだ。

最近では、実務実習初日のオリエンテーションでガー・レイノルズのプレゼンテーションZENを使って、ポートフォリオについて話をしている。特に抽象的な話とプレゼンテーションZENは、相性がいい。

高解像度の画像を使ったプレゼンは、少なくとも大学の講義ではみたことがないという意味でインパクトはあるようだが、まだまだ、学生を一気にその気にさせるプレゼンはできていない。

ポートフォリオの概念について伝えることは難しいが、これからも力を入れていきたいところである。

プレゼンテーションzen

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