2012/02/26

【本】イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」


"イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」" (安宅和人)

久々に、一気に読みました。旦那さんから薦められた、というよりも、自分は忙しいから、読んで書評を書いてくれと言われた本です。

著者の安宅和人さんは、企業のコンサルタントであり脳生理学の研究者でもあるという珍しい経歴の持ち主です。ということもあり、本書の中では、ビジネスの世界とサイエンスの世界に共通する問題を取り上げています。なので、より物事の本質をついている内容だと思います。

私が最も参考になったのは、物事を進めていく中で、まずイシュー度を見極める必要があるということです。この本のテーマでもあり、もっとも言いたいところだと思います。

良いイシューとは、本質的で今後に影響を与えるものであり、深い仮説をたてていることです。そして、重要なのは、答えが出そうなイシューであることです。

イシューとは、なかなか捉えにくい概念ですが、読み進めていくなかで理解ができます。本当に意味のあるイシュー、解決すべき課題を、もう一度問い直してみるということです。

その後の流れは、仮説をたてて、情報を収集し、ストーリーを組み立てる、相手に伝わるプレゼンをするというものです。一応、今まで学会で発表したりや論文を書いたりしたことはあるので、目的、方法、結果、考察という流れを考えながら、読み進めるとよく理解できました。

その中で目から鱗だったのは、情報を集め過ぎということ。ものごとを調べて情報収集して、よく知るようになると新しい概念は出てこなくなるから、集め過ぎ、知り過ぎには注意ということです。これは、気をつけたいなと思いました。時間をかけて情報収集しても、逆にそれが、アウトプットの質を低くするということのようですから。

すべてを読み終わっての全体的な感想ですが、なによりも、知的生産を価値あるアウトプットと捉えるならば、ツールや方法論に振り回されない知的生産の本質を追い求めなさいというメッセージを感じます。

そういう意味では、ライフハックや〜活用術、〜仕事術といった考え方の1つ上位の次元を行くお話だと思います。ライフハックが下位だから、劣っているというわけではありません。

本著の中で取り上げられているのは、ビジネスの場を対象としたコンサルティング事業です(ときどき、サイエンスもでてきますが)。上位にある概念を理解し自分のものにするには、自分の場合に置き換える想像力が必要だということです。

そういう意味では、ライフハックや〜活用術、〜仕事術というのは、1人の人間が概念を理解して実践してみた結果を見せてくれているわけで、これはとてもありがたい話であり、とても参考になります。

私がこの考え方を活用できるとすれば、学会発表や論文執筆ということになります。3月末の学会発表に向けて、なかなかモチベーションがあがらない時期でしたので、これを機会にがんばりたいと思います。

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