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先日、小グループでのディスカッションの2回目が実施されました。今回のテーマは、薬剤師として求められるコミュニケーションです。
学生にとってコミュニケーションというと、患者とのコミュニケーションに焦点が当たりがちですが、そうではなくて、他の医療スタッフや周りの薬剤師とのコミュニケーションに何が大切なのかを考えてほしいというのが狙いです。
いきなり、何が大切か考えろというのは大変なので、今回は、医師への疑義照会という場面を想定してシナリオを作成しました。
粉末化できないオキシコンチンを粉末化してほしいと処方せんへ記載していた医師への疑義照会の会話です。
薬剤師 「オキシコンチンは、つぶせないです。」
医 師 「患者さん飲み込めないから、つぶしてほしいんだけど。」
薬剤師 「と言われましても、つぶせないものは、つぶせないんです。」
というような会話が続く場面を考えました。この会話をよりよいものに変更してもらうことが課題です。もう1つのねらいとしては、オピオイドローテーションについて、考えてみようというもの。
粉末化できないオキシコンチンのかわりに、どのオピオイドを提案するか。緩和ケアを少しかじったことがあれば、それほど、難しいシナリオではないのですが、まだまだ、実習がはじまったばかりの学生です。
難しいかなと思っていましたが、なかなか、よい案を出してきました。3グループにわかれて、ディスカッションしたのですが、3グループとも異なる提案となりました。
シナリオひとつで、こんなにもディスカッションが盛り上がるのかと久々に、シナリオライターとしての面白さを感じました。
最後に、シナリオ作成者として、コメントをしたのですが、それぞれのグループで考えた提案は、すべて間違っていないと伝えました。臨床では、問題集の解答のような答えはない、もちろん、よりベターな答えはあるけれど、そこを感じてもらえたことが今回本当によかったです。
そして、何よりも驚いたのは、私のコメントを必死に聞く学生の姿でした。自分たちなりに、何が答えなのか必死に考えた結果、実際、どうなんだろうと知りたい欲求が高まるのでしょう。
また、オピオイドの商品名を連発しても、わからないという顔をする学生はいませんでした。医薬品集でそれぞれの薬剤の特徴を自分たちで見比べたからでしょう。
一方的な講義よりも、自分たちが参加するディスカッションのほうが、理解度が高くなることは、知っていましたが、ここまでとは・・・
シナリオを使ったディスカッションは、学部でもできると言われそうですが、実習中のほうが、学生の真剣さが違います。また、病棟実習では、オピオイドを使っている症例もでてきそうなので、そのときに、今回ディスカッションで得たことを生かしてもらえたらいいなと思います。