"冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)" (江國 香織)
物語の壮大さにも魅せられたが、何よりも、1つの物語りを女性と男性の2人の作家が、紡ぎだすという試みがなんともおもしろい。
すなわち、Blu(青)は、男性側からみたおはなし、Rosso(赤)の方は、女性側からみたおはなしという構成になっている。
後輩曰く、辻仁成のBlu(青)を読んでから、江國香織のRosso(赤)を読むとなるほどと思いますよと言われ、そのとおりにしてみた。
後輩の言うとおり、辻仁成の方が話の展開は、ダイナミックだ。Rossoは、月日が静かに流れていくのを感じる。そして、Blu(青)の話の隙間を埋めてくれる。
2つの視点から描かれた物語が、なんとも新鮮でおもしろかった。
もともと、2年の間、連載を続けられたものを単行本化したもの。お互いの原稿をみてから、そうくるかと思いながら、書き進めたであろう2人の作家のやり取りがなんとも言えない味わいを出していると思う。
フィレンツェの街が舞台になっているのだが、あいにく、大学時代にイタリアに行ったときには、まだこの小説には出会っていなかった。
またフィレンツェの街に行ってみたいと思わせる小説だった。映画化もされているので、フィレンツェの街は映画の中でも堪能できる。
0 件のコメント:
コメントを投稿