2012/04/22

【教育】PBL(問題基盤型学習)の良いところ

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4月になって、新年度がはじまり、てんやわんやしてます。いろんな理由があるのですが、1番の理由が、薬学部での講義がはじまったことだと思います。

講義すべてのコマ(半期で15回)をこなすわけではありませんが、一部を担当させてもらっています。

先日、PBL形式の講義に参加して思ったことを書き留めておきたいと思います。PBLについては、MEDCのページにありますので、参考にしてください。

PBLテュトーリアルシステム

学生の反応がわかる

実は、同じ日の午前中の講義で、いわゆる講義形式の講義を1コマしゃべりました。体調不良もあり、時間が足りず準備不足だったこともあり、私としては、40%をくらいのできだったのですが、なんとか乗り切りました。そして、午後になって、PBL形式の講義に参加しました。その日は、与えられた課題シートをもとに、ディスカッションを行う時間でした。

以前から、PBLっぽいことをしていたのですが、PBLの真髄であるグループディスカッションの時間を十分とれていなかったことが問題でした。今のシナリオの進め方になってから、学生が授業中にしっかりディスカッションできる時間を確保できるようになりました。

講義がうまくいかなかったということもあるのですが、それを差し引いても、やっぱり、私は、学生の反応がわかるディスカッション形式の講義が好きだなと思いました。

今、説明している内容が、聞いている人がどのくらいわかってるのか、わからずしゃべるというのは、とても不安です。抗癌剤治療など、わりと情報量が多い説明を理解しているかどうかを患者さんに確かめることができないまま、つっぱしっている感覚に似ています。

その点、学生が参加するディスカッションであれば、学生がどこがわからないのか、すでに学習している内容は何かがとてもよくわかります。

純粋に学習する楽しさをわかってもらえる

患者シナリオの一部を課題シートとして、少しずつ情報提示しながら、講義がすすんでいくわけですが、学生はこれどっかで勉強したといって、過去の講義のプリントを探したり、教科書や医薬品集、薬物治療についてかかれた本を必死でめくります。

集めた情報を元に、ディスカッションをすることで、なんとなくそれらしい答えが導き出される過程はみていて面白いですし、何よりも、学生が「あっ、そうか。」と目をキラキラさせている様子は、がんばってシナリオ作ってよかったなと思える瞬間です。

必死で覚えた知識や調べたことを問題解決のために、応用するという力は、臨床に出て必ず役に立つことだと思いますし、何より大学で勉強して得た知識が将来何の役に立つのかということを体験してもらうことは、大学での勉強を意欲的に取り組んでもらえるよいチャンスだと感じます。

問題解決よりも課題発見のほうが難しい

PBLは問題解決能力を身につけることができると言われるます。しかし、その前に、そもそも、臨床の文脈で、何が問題なのかを発見する(課題発見能力)のほうが、難しいということがわかってきました。

学生にとって、与えられた患者情報や状況から、何が問題かを抽出するほうが、はるかに困難な課題です。問題が見つかれば、何らかの解決策を考えることはそれほど難しくはありません。現実的には、実行が困難な場合もあるかもしれませんが、それは、現場に出てから実際の症例にあたって訓練して経験を積めばいいことです。

問題を発見する力は、薬剤師としての思考回路を醸成する上で、とても重要な要素だと感じています。必要な情報はインターネットなどからいくらでも抽出できる時代になり、知識を身につけるだけでは薬剤師として専門性があるとは言えない時代になりました。

現場で、問題を見つけ、その原因となる可能性がある因子を考え、問題解決につなげる。これが、臨床の中で必要とされる能力なのではないでしょうか。

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